後遺障害の逸失利益
逸失利益とは、交通事故によって後遺障害が残り、将来得られたではずの経済的利益を損失した損害のことを言います。後遺障害のために将来の労働能力の割合が何割か落ちると考えます。
後遺障害が残ってしまった場合に賠償の対象となるものは、将来得られるはずだった経済的利益である逸失利益と精神的苦痛の代償である慰謝料が代表的なものです。
後遺障害による逸失利益は下記の計算式で算出します。
(基礎収入)×(労働能力喪失率)×(労働能力喪失期間の中間利息控除係数)
基礎収入
就労形態等によって算定方法は変わります。例外はありますが、原則として給与所得者は事故前の実際の収入を基礎(概ね30歳未満の比較的若い被害者の場合は賃金統計(賃金センサス)の全年齢平均賃金のデータを用います)とし、自営業・自由業などの事業所得者は事故前年の確定申告によって認定されます。主婦などの家事従事者や、事故時にまだ学生・年少者の場合は、賃金センサス(賃金構造基本統計調査)のデータを基礎として計算します。
労働能力喪失率
労働能力喪失率は下記の表のように後遺障害の等級ごとに目安があります。
障害等級 | 労働能力喪失率 | 障害等級 | 労働能力喪失率 |
---|---|---|---|
第1級 | 100/100 | 第8級 | 45/100 |
第2級 | 100/100 | 第9級 | 35/100 |
第3級 | 100/100 | 第10級 | 27/100 |
第4級 | 92/100 | 第11級 | 20/100 |
第5級 | 79/100 | 第12級 | 14/100 |
第6級 | 67/100 | 第13級 | 9/100 |
第7級 | 56/100 | 第14級 | 5/100 |
労働省労働基準局長牒(昭和32年7月2日基発第551号)別表労働能力喪失率表
労働能力喪失期間
労働能力喪失期間は、後遺障害による労働能力の低下または喪失が継続する期間のことで、症状固定時から原則として67歳までの年数になります。
※被害者の職種、地位、健康状態、能力などによっては異なる判断になる場合もあります。
中間利息控除係数
後遺障害逸失利益の賠償は、将来得られる収入を一括して事前に受け取ることになるため、利息等がついてしまうという考えから将来の利息分を差し引いて賠償額を計算するものです。